創作絵本コンクール

 Sousakuehon_concours

 

第6回創作絵本コンクール結果発表

応募作品のなかから一次審査で30作品が選ばれ、最終審査により以下の6作品が入賞となりました。
 
【大賞】
「おせわになりました」ヘイズ 優衣/作・絵
 
【優秀賞】
「ふれんちぶるお」たにざき たいよう/作・絵
 
【審査員特別賞】
「おちた」まきの みそら/作・絵
 
【佳作】
「あんたもやったらええんやで」よしの あつこ/作・絵
「たんけんレストラン」南知里/作・絵
「はぁがぬけたら」こむすびおむすび/作・絵
 
受賞された皆さま、おめでとうございます!
 
【審査員】
山本省三(審査員長)
上野与志 尾下千秋 かさいまり 鈴木びんこ すとうあさえ 間部香代 光丘真理(五十音順)
 
【作品講評】
 コロナ感染症の流行も少し落ち着き、ようやく様々なイベントが復活の兆しをみせています。そのような中、創作絵本コンクールも審査員半数以上が入れ替わり、心機一転、優れた絵本作家を出版界に送り出すべく、新たな気持ちで選考にあたりました。
 今回は応募期間延長などの諸事情により「応募作品展示会」に先んじて、一次審査を上野与志、尾下千秋、山本省三の3名で行い、例年より多い30作品を最終選考に残すことといたしました。
「応募作品展示会」は9月11日より17日まで東京神田神保町のブックハウスカフェで開催され、審査員は個別に会場に訪れ、展示作品の中から上位5作品を選定する作業をいたしました。
 その結果をもとに、最高位を5点、以下最下位までを1点ずつ減らして換算し集計。上位得点7作品を大賞候補作と決定し、11月15日、ブックハウスカフェに審査員8名が集い、最終選考に臨みました。
 7作品の内、1位に2票が入ったのが『おせわになりました』と『ふれんちぶるお』、1票ずつが『たんけんレストラン』『はあがぬけたら』『おちた』『もりのたからくじ ちゅうせんかい』で、過半数を超えて1位に票を集めたものはありませんでした。それぞれの審査員の評価が分かれる中、獲得点数では、群を抜いていた『おせわになりました』が、最終的に大賞に決定しました。
 
第6回創作絵本コンクール大賞『おせわになりました』(ヘイズ 優衣 作/絵)は、主人公の夏休みの様々な思い出を2場面構成でつづり、手慣れた絵とも相まって、ほのぼのとした読後感がありました。また場面によっては、絵本的な冒険に挑んでおり、作者の絵本づくりへの意欲がうかがえました。一方で、新人としては完成度が高く、これからの伸びしろが不安との意見もありましたが、その点は本人の努力で、ぜひ乗り越えていただきたいと思います。
 
優秀賞『ふれんちぶるお』(たにざき たいよう 作/絵)は、フレンチブルドッグの主人公ぶるおが、飼い主の祖母の棲む不思議な世界を訪れる物語。個性的な絵とともに不条理な展開は、好き嫌いが大きく分かれるところで、作品全体に深い奥行きがあるとの評価の一方、子どもである読者には難解との意見も聞かれました。このような作品に理解を示す編集者との出会いがあればよいのですが。
 
審査員特別賞『おちた』(まきの みそら 作/絵)は、「おちた」という言葉遊びを軸に、絵もストーリーもシンプルで、しかもウイットに富んだ作品です。審査員の多くから好感が持てるという感想がありましたが、同時に展開や言葉選びに、読者である子どもの視点をもっと意識してほしいとの要望も出ました。今後の期待を込めてこの賞に決まりました。
 
佳作には、つぎの3作品が選定されました。いずれも力作で、上位3賞に劣っているとは思えません。大賞をめざし、次なるチャレンジを期待します。
『あんたもやったらええんやで』(よしの あつこ 作/絵)
『たんけんレストラン』(南 知里 作/絵)
『はあがぬけたら』(こむすび おむすび 作/絵)
 
 個人的な意見となりますが、今回初めて創作絵本コンクールの審査に参加させていただきましたが、この手があったか!と驚かされる作品には出合えなかったのが、少々残念です。全体的な傾向として、既視感のある応募作が多く、みなさん行儀がよいなあとの印象を持ちました。児童書もながらく厳しい状況が続いています。他力本願にはなりますが、苦境を逆転させてくれるような絵本作家の出現を待っています。

審査員長 山本省三

 


 
 

絵と文で絵本にする。
   応募は、ひとりでも、ふたりでも。

大賞が獲れたら出版される。
    次は、そのひとりに、その一冊に。